今からちょうど400年前、仙台藩の伊達政宗は支倉常長を正使とし、メキシコ、キューバ、スペインを経由して、ローマへと遺欧使節団を派遣したことを機に、日西交流は始まった。この長きに渡る両国の交流を祝い、今年、「日西交流400周年記念事業」がスペインで行なわれた。6月、この祝賀行事に「さくや姫文化使節団」として天地人はスペインへ赴き、フラメンコギター界の重鎮、ファン・マヌェル・カニサレスと共演を行なった。
カニサレスはフラメンコ界最高のテクニックを持ち、「マエストロ」と讃えられるスーパーギタリスト。亡きパコ・デ・ルシアの真の後継者である。
マドリッドでの3公演を通して、カニサレスは黒澤を「マエストロ」、また天地人を「マイ・ファミリー」と呼び、天地人は彼を「天地人一座」と呼ぶほど、互いに親密な関係を築き上げた。
スペインの聴衆は、天地人とカニサレスの間で繰り広げられる即興演奏に聴き入り、毎公演、スタンディングオベーションとなった。
メンバーコメント
黒澤博幸
即興演奏でヒートアップした日西交流
今回の公演ではトレドにある軍事博物館、セゴビアでは世界遺産の街で知られるサンマルティン広場、マドリッドでは王立サン・フェルナンド美術アカデミーにてフラメンコギターマエストロ「カニサレス」さんと共に3公演ご一緒させて頂きました。
とても気さくなカニサレスさん。僕もカニサレスさんも即興派ですから、言葉は通じなくても、すぐに音で会話ができました。
ギターと三味線は同じメロディ楽器ですが、奏法もパートセクションの幅もかなり違います。僕の三味線はメロパートが基本演奏形態ですが、今回は即興でサイドギターのパートやベースパートも織り込み、音に厚みがある楽曲に仕上がりました。
カニサレスさんから出る母国の音、旋律は繊細でありながら、とても情熱的です。僕は今回、カニサレスさんに寄り添った日本の音階や音に重視して演奏しました。
演奏の回数が増えていくにつれ、即興演奏のレンジも広くなり、演奏中にカニサレスさんの爪が割れる場面がありながらも、お互いにヒートアップした今回の公演は、情熱的で躍動する「音のフラメンコダンス」だったと言えるでしょう。
バルセロナ公演では、僕と同郷の岩手県盛岡市出身でバルセロナ在住のフラメンコダンサー「中田佳代子」さんと共演しました。天地人が演奏、さらにフラメンコダンスの伴奏を行ない、地歌舞の「古澤侑峯」さんは地元のフラメンコ伴奏で日本の舞を舞うという、素晴らしい日西コラボレーションとなりました。
スペインと日本の間に音楽を通して沢山の共通点が見え、友好の和が広がっていくのを実感したスペイン公演でした。
大間ジロー
オーラ!! スペインが好きだでヤー
初めてのスペインツアーは大成功でした。フラメンコギターのマエストロ、カニサレスさんとのコラボは素晴らしいものでした。音楽は言語と国境を越え、意思疎通できる素晴らしい文化です。長い歴史を持つフラメンコ音楽と、東北の音楽をベースにする天地人のサウンドが共鳴し合う、美しく情熱的なステージの数々でした。
和食がなくては生きられない天地人ですが、スペイン料理も好きになりました。味よし!人よし!土地よし!音よし!マドリッドとバルセロナを思う存分、楽しみました。
*「オーラ」とはスペイン語で「こんにちは」の意味。